農林水産大臣賞の受賞しょうゆ5本
令和4年(2022年)「第49回 全国醤油品評会」の受賞醤油が発表されました。その最高賞である農林水産大臣賞の5本セットです。
今野醸造(宮城県)
よいものづくりは、人づくりから
味噌に使う大豆は自社生産。「苗の芽が揃っていると収量はよいものです。そのためには種まき前の下準備が大切なんですよね」と、社長の今野昭夫さん。社員が気分よく働けるように心がけているそうです。「一生懸命取り組んで、人間性を高める。その人がよいものをつくるわけですから」。
「醤油はきれいなものと思っていて、雑味は極力取り除きたいと考えています。醸造物本来の味とふくよかな香りがあり、何に使ってもおいしい醤油を目指しています」と、工場長の後藤正信さん。「悪いときは原因の追及と改善を繰り返しますが、その試行錯誤は楽しいものですよ」。
吟醸
こいくちしょうゆ(本醸造)
原材料 :脱脂加工大豆、小麦、食塩、果糖ブドウ糖液糖、大豆/アルコール、調味料(アミノ酸等)
佐藤麴味噌醤油店(宮城県)
創業から400年以上、やさしく醤油と接する
創業は慶長8年(1603年)。伊達政宗の仙台への居城移転を機に、伊達御供として町ぐるみで移り住み、城下町で麹の専売免許を与えられていたそうです。建物は当時の町並みの名残で間口が狭くて奥に長い構造。物資を運ぶためにトロッコの線路が現役で活躍をしています。
「醤油本来の味を壊さないように、くどい加工はしたくないのです」と、社長の佐藤光政さん。二重釜でゆっくりと火入れをする理由をたずねると、「醤油をいじめないように」という返答。「火入れが強すぎると醤油が反発してくるように感じるので、できるだけ低温やさしく見守っています」。
ヤマシゲ本醸造
こいくちしょうゆ(本醸造)
原材料 :脱脂加工大豆、小麦、食塩、砂糖、大豆/アルコール、調味料(アミノ酸等)、甘味料(甘草)
福島県醤油醸造協同組合(福島県)
協業化58年の蓄積された経験値を活かした挑戦
昭和39年創立の日本初の生揚協業工場。生揚醤油を共同生産し、仕上げを組合員工場で行う方法は「福島方式」と呼ばれ、他の地域のモデルケースになりました。「組合員はおおらかな人たちが多くて仲が良いです。勉強会の時などは、部活みたいな雰囲気ですね」と、話すのは林寛理事長。
「福島県は喜多方ラーメンをはじめ混合醤油が好まれる地域ですが、この混合醤油で地域の新しい味をつくろうというのが今回の挑戦でした」と、工場長の紅林孝幸さん。テーマは、すっきりして長持ちする香り。「生揚醤油の質の追求と香りを逃がさない火入れ調整に試行錯誤しました」。
香味しょうゆ
こいくちしょうゆ(混合)
原材料 :脱脂加工大豆、小麦、食塩、米発酵調味料、アミノ酸液、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖/アルコール、調味料(アミノ酸等)
川中醤油(広島県)
変えないプライドとチャレンジ精神
「同じことを繰り返すのではなくて、挑戦し続けたいです。失敗もたくさんありますが、数をこなすことが大切だと思っています」と、社長の川中康三さん。年2回、新商品を発表する機会を設定し、店内にはだし醤油やドレッシング、ぽん酢などスタイリッシュなラベルがずらりと並んでいます。
看板商品は「芳醇天然かけ醤油」。会長の川中敬三さんが40年前に開発しただし醤油です。「弊社の今を支えるのがこの商品ですが、お客様の『おいしい』を絶対基準に、私たちにしかつくれない商品を生み出したいです。それが、次の弊社を支える存在になったらうれしいです」と康三さん。
濃口 宝
こいくちしょうゆ(本醸造)
原材料 :脱脂加工大豆、小麦、食塩、米醸造調味料/アルコール、調味料(アミノ酸液)、酸味料、ビタミンB1、甘味料(甘草)
山形屋商店(福島県)
人の心に訴える確かな品質を目指して
品評会への初出品は平成25年。「小規模メーカーである自分たちにはお門違いと思っていました」と、代表社員の渡辺和夫さん。転機は東日本大震災の風評被害。分析数値で安全を証明しても、消費者の安心は得られず、「人の心に訴える確かな品質を追求しなければと感じたのです」。
そこで、福島県の組合メンバーで勉強会を開催してレシピを共有。「ライバルでなく同志ですから」と、話す渡辺さんは論理的で研究熱心。看板娘のゆきのさんと絢華さんは渡辺さんをこう表現します。「自分で調べないと気が済まないタイプ。いつも記録を取りながら一人で研究に没頭しています」。
ヤマブンうすくち醤油
こいくちしょうゆ(混合)
原材料 :小麦、大豆、食塩、アミノ酸液、糖類(砂糖、異性化液糖)、米発酵調味料/アルコール、調味料(アミノ酸)、甘味料(甘草)、ビタミンB1